「ユキ。ちょっとついてきてくれない?確認したいことがあるから」

「うん、いいよ」

教室を出て階段を下り、職員室へ続く廊下を歩く。

「それで、何を確認したいんですか?」

あ、そっか。ユキにまだ目的言ってなかったっけ。

「私たちさ、陸上部長距離に入ってたじゃん?でも吸収合併されちゃったから、ここにあるか確かめるの」

「なるほど」

―――その時、一人の男子とすれ違った。

思わず勢いよく振り返り、その男子の後ろ姿を見つめる。

その男子は背が結構高くて、漆黒の短髪が動きに合わせて揺れている。

…今の人……。