「ごめんなさい……。私……今まで累くんにひどいことを沢山言ったわ……」

「いいんだ。僕が望んで仕組んだんだことだから」

「もう……累くんのことを憎まなくていいのね?」

口にするとなぜだか安堵して、涙がツーっと頬を流れた。

何かを心底恨むには10年という月日は長すぎる。

私は心のどこかでとっくに累くんを許していたのかもしれない。

けれど、こじれた関係をやり直すには手遅れで、素直になれず憎まれ口ばかり叩いていた。

もう、素直になってもいい?

底なしの愛情に身を埋めてもいい?

「累くんが留学してから気づいたの……」

累くんがいなくなって本当はものすごく後悔した。

初恋の痛手にいつまでもこだわって、自分の気持ちが見えていなかったのは私の方。

私はきっとあの悪魔にずっと恋をしていたのだ。

破れた手紙を持ってきた中学生の時からずっと……。

「私……累くんのことが好き」