「累くんなんて大っ嫌い!!」

パシンと小気味よい音が響く。

累くんの頬を思い切りはたいた私は、今度こそ捕まらないように駆けていった。

累くんはもう追ってこようとはしなかった。

(嫌いよ……大嫌い……)

私の気持ちを無視する累くんなんて大嫌いだ。

……私は何を期待していたのだろう。

5年も経てばまともになって帰ってくると思ってた?

もうたくさんだ。

彼と関わり合いになって傷つくのはいつも私。

嫌い。嫌い。大嫌い。

身も心もボロボロになって、自室に戻ると枕に顔を押し当ててさめざめと泣いた。

(もうわかんないよ……)

これから先どうやって累くんに向き合ったらいいの?

私の時計の針は5年前の別れの日からずっと止まったままだ。