東京が帰ってきたのは8時過ぎ。すでに作った鶏肉のトマトソースかけは冷めていた。
なにしてたの?遅かったね。
夜はそっけなく彼を横目に言った。
ああ、ちょっとね。
それ以上彼は言わなかった。私も聞かなかった。
冷めた私の作った料理を机上に置いたまま、彼はジャガイモの皮を剥き始めた。
ピーラーの持ち方が危なっかしい。沈黙が続く。聞こえるのはピーラーで皮をむく音と、キャベツを粗切りにする包丁の音だけ。
2人で台所にならびポトフを作る。
2人並んで台所に立つ。ただそれだけの事なのに夜はこの上なく幸せだった。これ以上の幸せが、その時の彼女にはなかったし、自分の作った料理がいくら冷めたとしてもこれが彼女の幸せだった。彼女は東京がいれさえすればそれでよかった。
なにしてたの?遅かったね。
夜はそっけなく彼を横目に言った。
ああ、ちょっとね。
それ以上彼は言わなかった。私も聞かなかった。
冷めた私の作った料理を机上に置いたまま、彼はジャガイモの皮を剥き始めた。
ピーラーの持ち方が危なっかしい。沈黙が続く。聞こえるのはピーラーで皮をむく音と、キャベツを粗切りにする包丁の音だけ。
2人で台所にならびポトフを作る。
2人並んで台所に立つ。ただそれだけの事なのに夜はこの上なく幸せだった。これ以上の幸せが、その時の彼女にはなかったし、自分の作った料理がいくら冷めたとしてもこれが彼女の幸せだった。彼女は東京がいれさえすればそれでよかった。
