最後の願いが叶うまで


でも、とさらに反論しようとする爽太郎の言葉をさえぎるように、アユがまたグイッとつめよった。

『あんたが来てくれないなら、私たちはかよわい女の子2人だけで霊がうじゃうじゃいるかもしれない山に乗りこむけど?』

『うっ……』

そんな言い方をされたら、「べつにいいよ」と放って帰ってしまえるような爽太郎ではない。
顔をひきつらせる彼にクスッと笑って、朱音はその背中を押すようにたずねた。

『そうちゃん、どうする?行く?』

『……行く』

降参するようにうなだれて、爽太郎が答えた。





*****







「小学校の横の道を抜けると、国道に出る……と。よし、ここをまっすぐ行けば目的地に着くわけね」


終業式の日の午後、すでに校庭には児童の姿はない。
3人は誰もいないグラウンドが静かに太陽に焦がされている小学校の横道を抜け、奥森山に沿って伸びる国道までたどり着いた。

土地勘のない朱音たち3人は、同じ電車から降りた、地元の人らしい老人を駅を出たところでつかまえて、道を教えてもらったのだった。


『ロウゲツイナリ?ああ…あったねえそんなの。昔は有名だったって聞くけどねえ。あんたら、縁結びのお参りに行く気なのかい?』

老人は見慣れない顔の高校生たちに話しかけられ驚きながらも、親切に答えてくれた。