「大学も、同じところ行けたらいいなぁって」



独り言のように揃えた。
彼の様子を伺うと、驚いたようにブラウンがかった瞳が微かに揺れる。

とびきり恥ずかしくなって私は訂正文を差し出した。



「幼稚園からずっと一緒なのに、“大学も”ってなると笑えちゃうよね」



笑い話みたいに言うけれど、楽しくないしむしろ情けないよ。



「私、京くんのことすごい好きなんだなって。えっと、その。
今から勉強頑張れば、間に合うかも」



……どさくさに紛れて告白、しちゃった。

耳の裏まで朱色に染まってるのが熱でわかるの。



「うう……。この話はもう終わりに」



荷物をまとめて、鞄の中に押し込んだ。

横一面に並んだ参考書が、まだ新しいと目について泣きそうになる。


(勉強教えてもらってたのも、下心だって思われた。これじゃあ、京くんのこと“かっこいい”って噂してる、ミーハーなクラスメイトと同じだよ)



“幼なじみ”と言うご都合主義の間柄も今日で幕が閉じた。

私の唯一、安心できる場所だったのに。