暗くなってきて、夜店の提灯にも、灯りがともり、いよいよ、祭りらしい雰囲気が漂ってくる。
俺は、両手に荷物をもったまま、恵子の後をついて廻る。
提灯の灯りの中を泳ぐように歩く恵子に、一瞬見とれてしまった。が、実際は、綿菓子~、リンゴ飴~、ヨーヨー釣り~チョコバナナ~と、お祭り満喫中だ。
恵子が、満喫するたびに、俺の荷物が増えていく。
途中で、電気屋さんを見かけたから、恵子が貰ったフクロを掲げて、ペコリと頭をさげておいた。電気屋さんは、オーってな感じで手を振ると、忙しくそうに、人混みに消えていった。
一通り満喫したのか、喉乾いたってことで、境内の端にある、休息所で休むことにした。ベンチに座り、ビンラムネを飲む。恵子は、途中に止まったビー玉をカラカラって振りながら、「夏祭りは、ラムネだよね~」なんて、
「去年も、そんなこといってたな」
「いいじゃん、毎年、そう思うんだから」
ラムネを飲む恵子をみながら、「さすがに、夜風は、涼しくなってきたな。もう、夏も終わりなんだな」なんて言ってしまう。
「そうだね、夏も終わるね~」って、いいながら、足を
プラプラって振る恵子が、かわいい。
そろそろ行くかって、立ち上がったとき、タベッチを見つけた。声をかけようとしたら、恵子に止められた。よく見たら、隣に浴衣の京子ちゃんが歩いている。邪魔しないの!って、恵子に言われてしまった。