玄関から出ると、先に出ていた恵子が、
「お母さん、何だって?」
「いや、金もらった。」
おぉ~!って言いながら
「隆って、毎月、お小遣いもらってるんじゃないの?」
「いや、無くなったら貰う。あんまり、使わないしな、部活帰りの買い食いとか、雑誌くらいしか買わないし」
「エッチな雑誌?」
「バッ、バカ、あれは、タベッチから、廻ってきたやっで・・・」
「何ーっ!、あーゆーので、変な知識つけられると、困るんだよね。田部井のヤツ、今度、とっちめてやる」なんて、ブツブツ言って、首を締めるフリをしている。タベッチごめんと心の中でナムナムっと拝んでおく。
「んで、どこ行く?」タベッチは、一応とっちめ終わったらしい。
「ん?ど~する?」何となく、駅の方にブラブラと歩っていた。
「ノープランですか!?、デートなのに、ノープランなんですか!?」驚いたように言う恵子に、
「突然来て、デートするって言い出したのは、おまえの方だろ、いきなりで、プランなんかあるか!」
まあ、隆に、そんな器用さを求めるのも無理か・・・って言われた。
「んで、どうするんだよ?」
「どうしようか・・・」お前だってノープランじねーかとか思ったが、世界平和の為に黙っておく。
「なんか、腹へったな~」俺の腹時計がお昼だって言っている。
時計を見た恵子が、
「そんだね、じゃあ、ランチデートって事でゆるしてやるか、で、どこにする?」
「学校の近くの大和家で良くね?」
大和家は、安くて、量が多い、学生に優しいお店だ。
「大和家!?、ランチデートだよ。デートって雰囲気じゃないでしょ」
確かに、大和家のおばちゃんの顔見ながらデートってのもな
「じゃあ、ど~するんだよ?」
「高校生ごときが、背伸びして、イタメシとかいってもね~。ジャージだし」
イタメシ・・・、チャーハン?って、ベタベタな突っ込みは、命に関わりそうだから辞めておいて
「じゃあ、ファミレスでよくね?」
って言ってみる。
ファミレスか~、無難かもね~とか、ブツブツと言ってたけど、
「よし、ファミレスに決定!」ってことになった