「悪い、興味ないわ」
「っだ、だよねー!瞬君、モテるもんね……ご、ごめん。じゃぁまた!」
瞬の返事を予測してたかのように慌てて踵を返し教室を駆け出る一人の女子。
これはもう本当にいつもの事なのだが、もう一人の女子が瞬の机をバシっと叩きながらそんな瞬の態度に声を荒げていた。
「アンタさぁ!衣梨奈の気持ちも少しは考えたら?ちょっと格好いいからって調子に乗ってんじゃない?て言うか彼女いるなら公言すれば?アンタに振り回される女の気にもなってよね!」
自己都合も甚だしいそんな言葉に僕はだが何も言い返す事は出来なかった。
僕は昔から臆病なのだ、こんな強気な女子には口さえ訊く事もままならない。
ただ瞬は平然と机に腕をかけたままその女を睨みつけていた。
「なっ、何よ……女にも手を上げる訳?」
「俺の知った事かよ。行くぞ、咲元」
「え、ちょ……ま、待ってよ!」
怯えた目を向ける女を置き去りに、僕と瞬は早々に教室を後にしたのだった。


