「俺は…」 桜先生の目を見据えて言う。 「あなたを同じ医者だと思いたくない。」 人の死を“よかった”なんて言う人はおかしい。ましてや医者が言うなんてもっとおかしい。 「彼女は俺の足なんか引っ張っていない。俺が彼女の足を引っ張ってるんだ。」 海実はいつも俺の前を歩いていた。 どこにいても、俺の道しるべだった。 「俺は、あなたとは付き合わない。それだけです。…失礼します。」 1秒たりとも一緒にいたくない。