「何だそれ。許せねぇ…。」



「待ちなさい、篁くん!」


「でもっ……!」



怒りに任せ飛び出しそうな卿焼を、強い声で鮖は止める。



「酔わせて聞いたの…!強い酒飲ませて聞き出したの…!シラフの状態じゃ無理だと思ったから。」



「だから男子禁制の女子会だったのか。」


「ええ。案の定、今朝聞かれたわ。昨日変なこと言ってなかったかって。」



記憶が曖昧なことが巫莵にとって救いだとは。



「鵬承君の話は私も知らないことだ。」


「所長にも言えないぐらい衢肖さんにとって瀑蛞拓との件は公にしたくないことなんだと思います。」



確信は有るのに、確証が無い。



それは今回の件でも言えることだ。



「このまま進展がなければ裁判ですよね。俺、どうなっちゃうんだろ…」



「証拠が何一つ無いのはお互い様。ただ、衢肖さんは裁判になる前に条件をのもうとするはずよ。」


「何でそんなこと分かるんだよ?」



「所長から聞いた話と衢肖さんの態度が一致しなかったから私は気付いたのよ。そんな衢肖さんが砧怙くんが訴えられてることに何も思わないとでも?身を引くことを考えるに決まってるじゃない。」