本来なら拒絶したいはずなのに
社会から孤立するのを恐れて
外では誰にもなにも言えなくなる
病気のことを言ったからといって
理解が得られる訳でもないが
言わないのでなおさら不審がられ
誤解を招き隙間ができる
けれど決死の思いでカミングアウトして
はっきりと嫌われるよりは
そのほうがまだ言い訳になるので
たいていそのままにする
自分に自信がなく
周りからの親切なアドバイスや励ましが
全て叱責に聞こえてしまう
無意識に無意味に無気力になるので
どんなに気合いを入れておしゃれをしても
どんなに真夏の暑い日でも
マスクで不安をひた隠しにし
長めの上着で汚い身体をなるべく隠す
そして徐々に作り笑いを覚え
そしてうまくなり
会社の中ではむしろ明るい子として
名が通るようになり
それは自ら望んだことであるくせに
家へ帰るともう後戻りはできないのだと
この衣を剥がれたらどうしようかと
発狂して自分を見失う
こんなの私じゃないと思いつつも
それなら本当の自分はなんなのか
問われても答えることはできない
もう知ったこっちゃないと
匙を投げたくても
どうしても極度に人目が気になり
本当はおっくうでやりたくもないことを
家事であれ自分磨きであれ淡々とこなす
重い腰を持ち上げて無表情のままに