田舎に行こう

自分の絶叫を聞かれたことが
改めて思い出すと恥ずかしくなり
奈津も隆史に負けず劣らず
自分の顔が赤くなるのを感じた。

「あの時、恥ずかしい女とか
　言ってごめん」
そう、先ほどまでとは打って変わって
はっきりとした口調で隆史は言った。

そして自転車にまたがり
ダッシュで逃げるように走り去った。

その姿を、茶髪はニヤニヤと
笑いながら奈津にむかって
話始めた。

「あいつ、照れ屋だからごめんね。
　俺は幸太郎。で、さっきの
　ユデダコが隆史！！
　○○高校なんだぁ～」
その高校は奈津が新学期から通う学校だ。
もちろん、こんな田舎には高校は
１校しかないわけなんで・・・
当然、同じになるのは当たり前なんだが。

「そうなの？！私もそこに
　通うようになるよ」
奈津は笑顔で答えた。

「じゃぁ、新学期にぃ～～」
と、手を振りながら幸太郎は
隆史の走り去った方向へ走って行った。