少し進んで行くと小さな橋がかかった
川があった。
川と言えるかわからないほど
川幅は狭いが、きれいな流れを見てとれた。

『さっき聞こえてたせせらぎっぽいのは
 これだったんだ』

橋のところで腰をかけて
少し眺めてみることにした。

よく見れば、川の流れにのって
小さなピンク色のものが流れてきていた。

すくって見ると、それは
桜の花びらだとわかった。

この上流に行けば桜が
あるのかもしれないと思い、
どうせあてもない散歩なので
見に行ってみようかと奈津は思った。

しかし土地勘がない場所で
もぅ日も暮れようとしていることから
今日は家にもどることにした。

家路へと向かう奈津の後ろ姿を
遠くから見つめてる彼の視線には
奈津は気付いてはいなかった。