「おかえり~」
ウトウトしながら声をかけた。

母親も
「奈津もおかえり~」
と旅行から帰ってきた奈津に
対して声をかけた。

その日はそのまま奈津は寝てしまった。
はしゃぎすぎて疲れて眠る奈津を
そっと微笑みながら眺めていた。

彼のことを話すのは
今日じゃなくてもいい。
そう母親は考えていた。

この事実を奈津に話すときが
来たことを、母親は娘の成長が
うれしいような・・少し寂しいような
そんな気持ちでいた。

奈津がこれから知る事実を
どう受け止めるのか・・・
娘を信用する気持ちと
もしかしたら傷つけるのでは
ないかと。

母親は眠れぬ夜を過ごした。