弘美の大きな目から
涙があふれ出た。

隆史はそれを見てこれ以上は
なにも言えないと感じた。
でも、それではだめだと
考え直した。
今まで自分をずっと見つめてくれた
弘美に感謝する気持ちを
今までもこれからも大切な
友達だと、ちゃんと伝えるために
ここに来たのだと。

「弘美・・・俺」
そう言いかけると弘美は
慌てて立ち上がった。

「わかったから。がんばってね」
そう言って立ち去ろうとした弘美に
弘美!と大きい声を出して
それを止めた。

気まずい空気の中、隆史はまた
話始めた。

「俺にとって弘美は
 家族のようなものなんだ。
 妹のようで、たまに姉のようで・・
 
 いつも、俺を支えてくれて
 見ててくれて・・・」
そこで隆史は一呼吸して区切った。

「ありがとう」
隆史は優しく精一杯の笑顔で
弘美にそう、伝えた。