「凌君、お父さんに電話してみてくれる?」


凌君に携帯を渡し、翔君と優を連れ診察室へと入る。



痙攣を起こしていた様子をなるべく詳しく医師に伝える。


「痙攣の時間も長くないようですし、意識もすぐに戻っているなら大丈夫でしょう。

熱性痙攣ですね。

ただ、また痙攣を起こす様な事があれば詳しく検査した方がいいですね。」



良かったー。



ホッとしてその場に座り込みたい気持ちを抑えて、医師に礼を言い診察室から出る。


待合室では、凌君が1人ぽつんと不安そうな顔で座っていた。



私達に気づき、青い顔で駆け寄って来る。


「凌君、大丈夫だったよ。」



「本当?
翔、大丈夫なの?」



「にぃーちゃ。」



不安そうに問いかける凌君に、熱でだるそうな体の翔君が、一生懸命に凌君に手を伸ばす。



「お父さんは?
電話に出た?」



「うん。すぐに行くって言ってた。」