自分の事が自分でも怖くなる。


優の泣き声を聞くと、イライラして何がなんだかわからなくなる。


私は優に手をあげるようになってしまった。



私は、自分が子供時代にされて苦しんでいた事を、今は自分の娘にしているんだ。



毎日が地獄だった。



毎日必ず、最低2回は夜中に泣き出す優に、司の我慢も限界を迎えていた。




いつの間にかまた、司の帰りは遅くなっていた。



私は以前のように司の携帯に連絡する事も、携帯の履歴をチェックする事もなくなっていた。



私にはそんな気力すらなかったから…。


司の帰りは、週の半分は夜明け近くだった。


帰ってくる司からはお酒と、毎日違う香水の匂いがしていた。



それでも私は、何も言わない。
何も言えなかったんだ。



私は毎日、優と2人だけの孤独な生活だった。



司は休みの日や、たまに早く帰った時は、食事の時以外部屋にこもりきりで、家族なのに顔をあわせる事も少なくなっていた。




私と優だけが、この狭い空間の中に取り残されていた。