優は癇の強い子で、毎日毎日、昼も夜も関係なく、何が気に入らないのか絶えず泣き続ける子だった。


そんな優を、司は抱いてやる事も、あやす事もなかった。


私も優を泣きやます術もわからず、優が泣き出す度に途方にくれる思いだった。



司とは相変わらず何の会話もなく、私の不眠は優の夜泣きで、以前よりもひどくなった。



気の休まる暇はもちろんなく、地獄のような生活が始まっていった。




「ウ、ウ、ウワーン、ワー、ウワ…」



深夜3時、今日も優の夜泣きが始まる。

オムツを変えても、ミルクを飲ませても、抱き上げても、一向に泣き止む気配はない。



「またかよぉ、毎日毎日、勘弁してくれよ!

お前みたいに1日中家の中でボサッとしてるのとは違うんだからさ。

母親なんだから子供の世話くらいは、ちゃんとしてくれよ!」



「ごめんなさい。」



心無い司の言葉に傷つきながらも謝ると、司は荒々しく部屋のドアを閉め、自分の部屋に引き返していった。



私は泣きじゃくる優をあやす。



どうして泣き止んでくれないのぉ…


毎日毎日、泣きたいのはこっちだよぉ。


優の泣き声が、私の神経を逆撫でする。


イライラしてどうしようもない。



私は抱いている優をベビーベッドにおろし、その場にうずくまり耳を塞ぐ。



どの位そうしていただろう…。



優は少しだけフガフガ言いながら眠りに落ちていった。



そんな優の寝顔を見ていたら涙がでてきた。


涙の理由は、自分でもよくわからなかった。



次から次に溢れ出る涙を止められず、私は声を殺して泣いた。