「毎日毎日何なんだよ!
いい加減にしてくれよ!」



俺の中に溜まっていた不安が一気に噴き出す。



「何が?
何か見られて困る事でもあるの?」



美沙は、冷たい目で俺を見据える。



「そんな物ないよ。ただ毎日毎日、仕事で疲れて帰ってきてるのに、こんな事されたら気が休まんないだろっ!

こんなんじゃ家に帰ってきたくなきなるよ!

お前最近おかしいよ。どうしたんだよ。」



「あたし、おかしくなんかないからっ!
帰ってきたくないなら帰って来なきゃいいじゃない!」



美沙は泣きながら部屋へと駆け込んで行く。



「ハァーッ…泣きたいのはこっちだよ。」


こんな筈じゃなかった…。


こんな生活を守る為に幸代と別れた訳じゃなかった。



毎日、毎日、未練たらしくそんな事ばかり考えていた。



美沙は相変わらず毎日のように俺を探り続ける。



あんな風に変わってしまった美沙を、どう扱ったらいいのかわからなかった。



俺は仕事に没頭する事で、そんな美沙から逃げ続けていた。

夫婦の会話はどんどん減っていき、美沙との溝は深まるばかりだった。