幸代の部屋に明かりは点いていなかった。


念のためにインターフォンを何度も押してみたが返事はやっぱりなく、部屋の中は静まり返っているようだった。



ドアの前で幸代を待ってみる。



手持ち無沙汰の俺は煙草に火を点ける。


火を点けてしまってから灰皿がない事に気が付き、近くの自動販売機まで缶コーヒーを買いに行く。



飲み干して灰皿代わりにするか…


コーヒーを一気に飲み干す。



部屋の前に戻るが彼女が戻ってきた形跡はなく、部屋の灯りは消えたままだ。


30分も待っただろうか…


幸代の隣に住んでいる若い女性が帰ってきて、今日の朝早くに引っ越して行ったと聞かされた。



引っ越し先を聞いてみても、わかる筈もなかった。



もう、幸代とは会う事も、連絡する事もできなくなった。


彼女とは本当に終わってしまったんだ。



俺が傷つけたばかり方、会社まで辞めさす羽目になった事を悔やんでも悔やみきれなかった。