出張から帰ってきた俺を待ち受けてたのは、岡崎さんからの1本の電話だった。


ちょっと話したい事があるから夕飯一緒にどうかなぁと、居酒屋に誘われた。


最後に付けくわえられた、美沙には内緒の言葉に考えこむ。


やっぱり美沙が行ってるのが迷惑だったのかなぁ…



俺は苦い思いで、約束の居酒屋へと向かった。


岡崎さんは既に着いていた。



とりあえずビールを頼んで乾杯する。



「いやぁ、岡崎さんすいません!

今日帰ったら、私の方から美沙に言いますから…」



俺は、まず岡崎さんに謝った。



「え?」



岡崎さんがキョトンとしている。



「違うんですか?
美沙がご迷惑だったんじゃ…」



「とんでもない!
本当のところ困ってたんですよ。

何日も仕事を休むわけにもいかないし、夜に会社に行っても、時間的に処理できない仕事の方が圧倒的に多い。

どんどん仕事は溜まっていくし、どうしようかと途方にくれてたんですよ。

子供達を夜中2人だけで置いておくのも心配で、本当に井上さんの奥さんのお陰で助かったんですよ。」



「えっ?
じゃあ今日は…?」



「いや、実は…」


岡崎さんは、よほど話しにくい事なのか軽く口ごもりながら喉にビールを流しこむ。