「送ってく。」



「いらない!
引き止めたくなっちゃうから。

だから、1人で帰る。」



彼女の言葉が胸にズキッと響く。



「本当にごめん。」



謝る事しかできなかった。


精一杯に明るく振る舞おうとする彼女を抱きしめたかった。

けど、それはもうできなかった。



「最後に1つだけ約束して。
もう2度と浮気はしないって約束して。

じゃなきゃ、こんなに大好きなのに別れる意味ないじゃない。

あたしが司の付き合った最後の彼女でいさせて。」



俺の胸は彼女の言葉に、どんどん締めつけられていく。



「浮気なんて、そんな軽い気持ちじゃなかったよ。
けど…」



「わかってるよ。
今まで凄く幸せだったよ…約束守ってよね。

じゃあね!」



俺の言葉を彼女が遮り、彼女は駆けて行ってしまう。


俺はその場に立ち尽くして、彼女の後ろ姿を見送っていた。



彼女は最後まで涙を見せなかった。


泣くのを我慢して、無理に笑顔を作ってる事は痛い程わかっていた。