「少し走りましょうか。」


岡崎さんは車を走らせる。


黙ったままの2人を乗せて、車は雨の夜の道を走り続ける。


「ずっと孤独でした。
子供の頃から…」



私は岡崎さんに全てを聞いてもらいたかった。



涙まで流しながら、私の事を叱ってくれた愛情溢れる優しい人に…。




「井上に会うまでずっと1人で孤独でした。

井上に出会えて幸せだったんです。

でも、その幸せが壊れかけた時、私はどうしようもなく不安でした。

優を産む時に、誰にも愛されない子なんて産みたくないって…叫んで暴れたんです。」




岡崎さんは黙っていたけど、その暖かな眼差しに励まされ話を続ける。




「看護婦さんに押さえつけられながら、狂ったように暴れてるのを井上は見たんです。

井上が来てくれた事で、私は落ち着きました。

でも、井上は退院するまで病院には来てくれませんでした。」




外はもう真っ暗になっいた。
時折、対向車のヘッドライトが私達を照らす。