「物心ついた時から、母と2人でした。
毎日殴られたり、蹴られたり、そんな記憶しかありません。
6歳の頃母が再婚して新しい父と、半分だけ血の繋がった妹ができたんです。

新しい父も、母と一緒によく私を殴りました。

妹の世話をさせられて、妹が泣く度殴られたり蹴られたり、そんな生活は家を出るまで続いていました。」



外はいつの間にか雨が降り出していた。


私の涙と雨の粒で、車の外の景色が滲んで見える。



「何度も死のうと思いました。

でも…怖くて勇気が出せなかった。

あたしは早く時間が過ぎるのだけを願ってました。

早く大人になって、あの家から抜け出す事を毎日願ってたんです。

でも、優に…自分の子に…

母親と同じ事…同じ事をしてしまうなら…
あのと…あの時死んで…死んでしまえば…」



私は泣きすぎて話す事さえできなくなってしまう。


岡崎さんは黙ったままだった。


車は静かにコンビニで停まり、岡崎さんはコンビニに姿を消した。