金曜日。
今日も会えなかったと肩を落としながら
帰るためエレベーターを待っていた。
「お疲れ様」
隣に並んできたのは木崎さん。
「えっ、お疲れ様です!」
びっくりなんてもんじゃない。
会いたかった人が今すぐ隣にいる。
「びっくりしすぎ。今から帰るの?」
「はい、木崎さんもですか?」
「うん、駅まで一緒に帰ろっか。」
その言葉が嬉しくて
でも会社で言われることがなんだか恥ずかしくて。
エレベーターが来て乗り込む。
2人っきりの空間。
「やっと会えた。」
「えっ?」
木崎さんのほうを振り向くと真剣な顔をしている。
そのまま私の右手が木崎さんの左手と繋がった。
私は何も言えずただただ驚いていて
「エレベーターの中だけ。」
木崎さんがそう言った。
木崎さんの左手の薬指に付けられた指輪。
これに触れる日が来るなんて思ってもいなかったけど。

