「髪……」

「え?」

「伸ばしてんの?」


風になびく私の髪をすくった頼くんが、街灯の下で私を見つめる。

街灯に照らされてやけにハッキリと見える整った顔をに見つめられている今のは状況が、なんだかすごく恥ずかしい。


「……あ、うん」

「それってさ……」


そこまで言って、少しだけ切なそうな顔した頼くんに次の言葉が気になって仕方ない。


「それって?」

「……それって、涼が長い方が好きだから?」


───ドクンッ


なんで知ってるんだろう?
いや、兄弟だし、涼くんとそう言う話をしたりするって考えたら普通なのかもしれないけど、

出来ることなら、涼くんのために伸ばしている……なんて、恥ずかしいから知られたくなかった。


「バ、バレた?実はそうなんだよね!……1年の頃、たまたま教室でクラスの男子が好きな女の子のタイプについて話してるの聞いちゃって。その時、涼くん『髪は長い子がいいな〜』って言ってたから」


単純だけど、それからずっと伸ばしてる。

まだ涼くんを好きだって自覚する前だったけど、今思えばもう、その時から私は涼くんが気になっていたんだろうな。