それは気づかないうちに始まっていた。


「……父さん?母さん?」


と私は恐る恐る聞いてみると2人は振り返った。


2人の姿は無残にも皮膚や肉が剥がれ落ちており、いつ倒れてもおかしくない姿をしている。


「…あぁ…」


と両親は唸りに似た声を発する。


よく見てみると両親の足元には食い荒らされた兄の姿があった。


「何…これ…」


と私は震える声で言うと残った兄の力なのかはわからないが兄の手に握られたボールペンの先の床には ” 逃げ… ” と書かれていた。


それに気づいた時にはもう遅かった。


両親は私の左腕を掴んでいたのだ。


「グフ…ハハァァァ」


と両親は私の腕を見ると裂けた口を開いた。



何で…私の腕をそんな目で見るの?



と私は驚きのあまり声が出ない。


両親が私を見る姿はまるで餌を求める肉食動物だ。


すると付いていたテレビから大きい音で流れ始めた。