「葉月、誕生日おめでとう」

友達が代わる代わる言ってくれる。
でも、裕太が言ってくれる気配はない。
寂しくない、なんて言ったら嘘になる。
きっと二人きりになったら…と思うようにする。
そうしないと、辛くて仕方がないから。


裕太が席を立ってこちらに向かってくる。
少し目線を逸らしているような感じ。
なんだか分からないけど嫌な予感がした。

「葉月、話がしたいから…放課後、屋上な?」

「う、うん……」

なんだか声が沈んでいるような気がする。
確かめようとしたけど、出来なかった。
今、聞いてはいけないような気がしたから。