「葉月ちゃん…」

裕太のお母さんが私を涙目で見つめる。
私も裕太のお母さんの目を見つめ返す。


「おばさん、裕太に聞いたかもしれませんが堕ろしません。」


私は、裕太のお母さんに頭を下げた。
すると、裕太のお母さんは、泣き始めた。


「…葉月ちゃん…堕ろさないって…?」


私が口を開こうとするとお母さんが来た。


「もう堕胎期間を過ぎています。堕ろそうにも………」


お母さんは、そう言うと泣き崩れてしまった。
私は、お母さんの手を包むように私の手を置いた。
大丈夫だよ、って伝えたくて自然とそうしてた。


「もしかしたら、私は死ぬかもしれません」


裕太がハッとした表情で見つめてくる。


「私は、体も未熟な子供です。インターネットとかで色々と調べました。普通の出産より危険だそうです…」


裕太のお母さんは、黙って聞いていた。
裕太も裕太のお父さんも黙ったままだ。


「だから、死ぬかもしれませんし、生きるかもしれません」


「葉月、結婚しよう?」


裕太が優しく優しく私に言ってくれた。
本当なら喜ぶべきプロポーズなんだろう。
でも、浮気や子供の父親の事を疑われた。
私と裕太は、幸せになれるのだろうか?


「裕太、私…無理だよ。あんなに疑われたら…」


私は、そのままうつむいてしまった。
本当に裕太の気持ちが信じられない。