「こんばんわ・・・って、葉月、頬腫れてるぞ!?」


「大丈夫・・・それより、部屋で話があるの・・・・」


「わかった。でも、その前に頬ちゃんと冷やせよ?」


裕太の優しい声がなぜだか無性に嫌になった。
私は、こんなに苦しんでいるのに・・・・。
そう思ってしまう私も嫌だったが、思ってしまう。
お母さんは、出てこないようにしていた。
私がそうお願いをしていたから・・・・。
そうしないと、お母さんは裕太をひっぱたくだろう。
そうしてしまうと、冷静な話し合いが出来そうもない。
だから、お母さんには出てこないようにお願いした。
お母さんは、納得がいかないようだったが了承してくれた。

2階にある私の部屋に裕太を入れて待つようにお願いする。
私は部屋を出て、1階にお茶を取りに降りた。
すると、階段の下でお母さんが待っていた。


「大丈夫?お母さんも一緒にいようか?」


「大丈夫、心配してくれてありがとう・・・」


お母さんの優しさに涙が出そうになった。
こんな親不孝な娘なのに心配してくれている。
それが今の私にはすごく辛かった。
お茶を準備して2階に戻ろうとする。
やっぱり、お母さんは同じ場所にいた。
そして、そっと私の頭をなでた。


「妊娠のこと、許したわけではないのよ」


お母さんの声は涙声になっていく。


「それでも、アナタは私の大事な娘よ・・・・」


「ごめんなさい・・・・・・・・」


お母さんの言葉が胸に響き、泣きそうになる。
こんな娘でも大事といってくれる、お母さん。
厳しいけど、こんなの厳しさのうちに入らない。
お母さんの優しさなんだ・・・そう思った。