お母さんは、五回ほど私を叩いた後に私を抱きしめた。
抱きしめてもらう価値なんかない私を抱きしめた。


「葉月…なんでアナタが…」


呟くように同じ言葉を何度も繰り返す。


「ごめん…なさい……」


私は、お母さんにしっかりと抱き泣いた。
今だけは、今だからこそ、甘えたかった。
不安な気持ちをどうにも出来なかったから。

しばらくして、お母さんは私の顔を見た。


「相手…は……知っているの?」


「多分…ううん、絶対知らない…」

私は、お母さんの言葉に声を詰まらせた。
そう、裕太にも話さなければならないから。
裕太は、妊娠の事をどう思うのだろう。

堕ろせと言うのだろうか?
産んくれと言うのだろうか?

そう考えると不安になってしまった。


「相手の子を家に呼びなさい」

お母さんは、私の返事も聞かず子機を渡した。
私は、震える手で裕太の家の電話番号を押した。