森の中で、この場所だけ空がぽっかりと開け、月光が静かに降り注ぐ。



森と大地の静かな眠りが辺りを包み、
夏の盛(さか)りであっても静謐(せいひつ)な夜だった。



その中心に、十五ばかりの少女が今しがたたどり着いた。





花のように清らで儚げな、少女だった。