「るか!?…遥香!?」

誰か私を呼んでる…?

私は重たいまぶたをゆっくり開けると…

あ、この前の…

てか、なんで泣いてるわけ?

私は妙な息苦しさで目を覚ました。

原因はこれ。酸素マスク。

私は、マスクを取ろうとするとその手を止められた。

「遥香ちゃん…よかった。本当に。」

「なんで泣いてるわけ?」

「だって、もう1週間も眠ってたんだよ?」

「…!?」

私はびっくりして上半身を起こした。

「ダメだって。安静にしてろ。」

「待って…私、寝てる場合じゃない。アルバイトも無断で休んだし、学校も…ハァハァ…ど…ゲホゲホゲホゲホッ」

「落ち着いて!ゆっくり深呼吸して。」

「ゲホゲホゲホゲホッ…ハァハァゲホゲホ」

「大丈夫だから、落ち着こう。な?いいか?外の空気をできるだけ深く吸うんだ。で、ゆっくり吐く。やってみな?」

「…スーゲホゲホッハー…スーゲホ…ハー…」

「そうそう。上手。」

「ケホッ…ハァ…」

「大丈夫?」

「…うん。」

「とりあえず。1週間前倒れて親切な人がここに運んでくれた。幸い、その人は看護師やってる人だったから冷静に判断してくれた。それから、アルバイトのことなら電話が来てたからちゃんと喘息のことを伝えた。学校も、しばらくは入院するって言っておいた。」

「なんで…入院してる余裕なんかないんだけど?」

「ダメだ。入院して治療を受けて。遥香ちゃん。今回の発作は今まで治療をせず病院も来ないことが原因で起きた。ずっと喘息と向き合ってきた遥香ちゃんなら分かるよな?だから、しばらくは入院して落ち着いたらまた外に出れるから。」

「毎日生活していくのもいっぱいいっぱいなのにそんな簡単に言わないでよ!」

「入院費とか治療費のこと心配してるのか?」

「え?」

「もしかして、それが理由で病院に来れなかったのか?」

「…。」

当たり前じゃん。私に残されたお金は学費に回したしアルバイトで生活費とかアパートの家賃とか払わなきゃいけないのに。

「安心しろ。」

安心なんてできるわけない。

「俺が身内として払うから。」

「は?」

「まあ、遥香ちゃんの身内になれるかは俺次第だしな。だから、治療費とか入院費とかは気にせずにさ?今は、良くなることだけを考えて。」

「…」

正直、もう体力の限界。

誰にも頼らず生きていくことを決めていたけどこればかりはどうしょうもないのかな…?

「朝ごはんは食べれるか?」

「…無理…。」

「ずっと眠ってたもんな…。とりあえず、下でフルーツのジュース買ってくるな?胃に何かしら入れよう?」

「いらない。」

「遥香ちゃん。胃の中に少しずつ何でもいいから入れていかないと栄養が取れなくなっちゃうよ?」

「分かった…。」

それから先生は、ジュースを買いに売店へ向かった。

それにしても、医者ってあんなに患者の世話をやくものなのか。

それよりも、何?身内としてって…

どうしてそこまでするのかな。

あの人は、親に連絡するとか相談しろとか言わなかった。

山城先生が、引き継ぐ時に話したからあえて触れないようにしてるのかな?

まあ、どうでもいいけど。

私は再び睡魔に襲われて眠りについた。