次に目が覚めた時、部屋の中はまだ薄暗く、時計を見ると5時を少し過ぎた位だった。いくら病院の朝が早くても、また、静まり返っている。
どうやら、トイレに行きたくて目が覚めたらしい。もう少し明るくなるまで我慢しようとしたけど、どうにも我慢できなくて、音を立てないように、そっと、ベッドから起き出した。
松葉づえを使いながら、ベッドの周りを覆うカーテンをそっと開けて顔を出す。
部屋を横切ろうとすると、いつも、キチンと閉められている山田さんのカーテンが、少し開いていた。閉めてあげようかとも考えたけど、起こしても悪いし、尿意に負けたってのもあって、そのまま部屋を出た。
トイレから戻りがら、そういえば、変な夢をみたな~なんて、思いながら、部屋に戻ると、山田さんのカーテンが気になった。
閉めてあげようと、近づいたら、山田さんと目があった。
私はあの時の、山田さんの表情を一生忘れることは出来ないでしょう。まさに、苦悶の表情で目をカッと見開いていました。「山田さん」と声をかけても返事がない。慌ててナースコール押して、看護師さんを呼んだ。

あの子供達は夢だったんでしようか?もし、選ばれたのが、山田さんでなく私だったら・・・