その日は結局、ロバートは優しかった。
それはもう完璧な執事だった。
言葉遣いが荒いのはノーマルとして、
接し方が優しかったし、バカもアホもお花畑も言わなかった。
それに、執務はいつも通り完璧で、
お世話もいつも通り丁寧だった。
…
おやすみなさい、と声をかけたら、
おやすみ、と言われた。
…
「なんなの!?」
マリアは布団に勢いよく潜って悶々としていた。
選抜が1位だったから…ご褒美かな
でも…あれはロバートさんの指導とリードのおかげであって。
他の執事ならまずあんなレベルのダンスは踊れなかった。
感謝しろっていう…こと?
逆に?逆にそういうことなの?
優しくされたらロバートの存在がありがたく思えるだろうって。
多分それだ!
…じゃあ感謝ぐらい伝えるわよ
そんなことしなくても感謝してるのに
…寝よ
気恥ずかしいので考えるのは明日に持ち越した。