「ゴホッ」


咳払いではない。

本物の咳だ。

「ダイアナ、大丈夫?」

昼食の時間、マリアとダイアナは向かいに座って話していた。

「ええ、ごめんなさいね〜、もうすっかり治ったと思ってたんだけどな」

花嫁選抜から3日。
ダイアナは当日の夜から高熱を出し、
昨日まで寝込んでいた。

「だから無理しないほうが…」

フリンは頭を抱えてやれやれといったところだ。

「私に移してもいいのよ」

マリアはおどけた様子でいったが、
ダイアナは咳で返した。

「ええ、ありがとね…けほけほ」


「んんー」

辛そうなダイアナに落ち着かず、マリアはその日、唸ってばかりだった。