ステージの中央に来ると私たちは一礼し、向かい合った。
しん…と会場は静まり返る。
聞こえない声でつぶやく。
「ロバートさん、私…」
ロバートの背に手を回した。
ロバートの顔を盗み見ると、まっすぐな青い瞳が私を見つめていた。
安心する。
大丈夫って言ってもらえているような感覚。
でもやっぱり…自信がない
1位になれなければ…
私は俯いた。
「相手の目を見る」
ロバートはマリアの背に手を回しながら言った。
もう片方の手をロバートが取る。
再びロバートはマリアの目を見た。
私はまっすぐ見つめ返して、うなづいた。
きっとやれる。
だって、魔法がついてるから
一歩目を踏み出した。
「笑顔」
ロバートが優しく私をみる。
私はまた、笑顔でうなづき応える。
体が軽い。宙に浮いているみたい。
2人は人々に囲まれたホールの真ん中で、くるくると回り続けた。
優雅なオーケストラの演奏に合わせて、
マリアのドレスが揺れる。
幸せ
今、この瞬間が、とても大切
ある日の夢を思い出した。
ティアラを身につけた清掃服の少女は、
魔法でドレスに変えられ、それを見つけた王子と夢のように心地よいダンスを踊る。
夢のようだった。
オーケストラがラストスパートに入り、演奏が終わる一音と共にポーズをとり、
姿勢を正して礼をする。
しん…空気はバラ色のように暖かい。



