「あれ、マリアちゃーん、マリア様ー?」
どんどんどんどん、ドアのノックが最大級に激しくなった。
「なんだ!」
ロバートは荒々しくドアを開けた。
「よっ、ロバート。あれ、マリアちゃんいないの?」
いたのはフリンだった。
「お前こそ、ダイアナ様は」
「あぁ、控え室でおやすみ中…」
フリンはもごもごしているが、
そんな細かいことには注意していられない。
「何の用だよ」
「いやね、なんとなく。
そろそろ2人とも本番前で情緒不安定かなーと思ってさ。」
軽く言うこの男、勘だけは恐ろしく鋭い。
ロバートは何も言えず頷いた。
「…まぁ入れ」
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「え、それで泣いたまま出て行っちゃった女の子を今の今まで放置してるわけ?
」
「だって」
「お前、なんかおかしいぞ?
今までこんなにお嬢様と喧嘩することなかっただろ、つーかタメ口だっていきなりマリアちゃんだけ…」
「あいつがガキだからだ」
フリンはそう言い放ったロバートの顔を見つめながら頷いた。
「うーん。なるほどね〜。」
着替えも平気で見られ特に動揺もされず、叱られ、犬、ガキ呼ばわり、優しくされても意識してるのは自分だけ…か。辛いな〜マリアちゃんも
「はぁ?何がだよ」
「いや、これがマリアちゃんの気持ちを思うとね〜。
お前には分からないだろうな、あの年頃の女の子の気持ちなんざ」
この女たらし、とフリンに肩パンされる。意味がわからない。今まで俺が女をどうこうしたことがあるか?ない。
断じてない。それに、お嬢様と執事の健全な関係を保ち続けている数少ない執事であるという自負がある。
「誰が女たらしだよ!おまえこそ人たらしだろうが」



