マリアは窓の淵に頬杖をついて
白を眺めながら目を閉じる。


「そうね。どうするの?
ダンスもドレスもいろいろと大変でしょ?
それに、」


ソフィーが言いかけると、
大きな声が森を貫く。





「マリア!」


姉のサリーはキンキンとした声でマリアを呼ぶ。
毎朝毎晩マリアをこき使う姉だ。



「ほら、お姉様。」



ソフィーは姉の態度に
あきれ返っている。



あーあ、とマリアもため息をつく。


「もう、本当嫌になっちゃうわ。
でも大丈夫。
舞踏会には行くのよ。
私決めてるの。」




「マリア!」

さっきよりもがなったサリーの声に、
マリアはまたため息をついた。




「はいはい、今行きますってば。」


パジャマをボロボロの清掃服に着替える。


「せいぜいがんばってね、シンデレラ」

ソフィーはからかうように
マリアをシンデレラと呼ぶ。


「言われなくても頑張ってるわ。」



マリアは振りむきがてら言い、綺麗な金色の髪にボロ布を巻いた。




「本当に大丈夫かしら。」
そういうとソフィーはあくびをし、
すぐに眠りについた。






マリアは忙しく階段を駆け下り、姉の部屋を尋ねた。