「実は彼は、10歳の頃に拾われた子なんです。」
「え!!」
マリアは驚きで大きな声を出した。
しっ、とフリンに注意された。
すみません、とすぐ謝る。
「家族と色々あったみたいでね。
森に迷い込んでしまい、敷地内に入ってきたところを校長に拾われたんだよ」
ということは12年間も執事をやってるんだ。
そんな昔からやっていたら、能力も高くなるな…
「おいフリン、余計なこと教えんなよ」
「だーいじょうぶ!」
フリンはすべて耳打ちなので、ロバートには何も聞かれていない。
多分バレたら即罵声の嵐だ。
「そういうことだから、彼の性格にはもともとこじれていたものに色々なことが重なってこんな堅物になってしまったのさ」
フリンは耳打ちを終えると、マリアとロバートの元に戻った。
「…まぁ大体何を教えたかは分かってるが」
「色々と執事の事は知りたいものさ。
これはたったの基本情報。もっと教えてやってもいいんだけどねー。」
「やめろ!」
ロバートがとても焦っている。
「冗談だって」
フリンはなかなかロバートと仲が良いらしい。
いいな、こんな風にロバートさんを取り乱させられるなんて。
色々と聞きだせるように頑張ろう。
私達は生徒がまばらになった食堂を出て、授業に向かった。