「俺は勉強して建築家になりたかった。
でも、王子という立場である以上、
職務を全うしなければいけない。
だから、親にも誰にも言えずここまで来た。そして、花嫁選抜まで始まってしまって、俺はもう逃げられなくなった。
花嫁が決まったら、俺は完全に王になっちまう。そしたら俺の夢は?俺の夢は一生敵わないままだ」


エドワードは力なく膝をついた。


「そういうことか。」


「俺は結婚なんかしたくない。
でも、どうせ結婚は避けられないんだ。
だったら、好きになった人と結婚してしまおうと思った。
マリアのことが好きだと思ってた。
でも、今は…分からない」


花嫁選抜の最終選抜が近づくにつれて、
花嫁候補が絞られていく。
エドワードはその中の誰かと必ず結婚することになってしまう。
ならば花嫁選抜が終わる前に、マリアと結婚してしまいたかった。
ただそれだけだ。
多分焦っていたから、マリアが好きだと言い聞かせて、花嫁を自分で選んだのだということにしたかったのかもしれない。