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「眠れない…」
エドワードは夜中に目を覚ました。
ここは執事部屋。
エドワード用のベッドとロバート用のベッドが並べられていて、隣でロバートが寝ている。
「うーん…」
ロバートが寝返りを打つ。
エドワードは汗ばんだ額を拭って、ベッドから立ち上がった。
俺は王子なのに、なんでこんなところに何週間も居候してるんだ。
元はと言えば俺のことを育成するとか言ってロバートがここに入れたわけだ。
マリアと今すぐ結婚、は失敗に終わった。
もちろん、花嫁選抜は最後まで行わなければ筋が通らないので、そこはしっかりやる。
とにかくマリアが俺と結婚したいという意思を見せてくれれば、俺はそれで満足だ。
だが、中々マリアは難しい。
プロポーズにイエスと答えたものの、
後から否定した。
なぜだろう。
俺はマリアが好きだ。
マリアも俺が好きなはずだ。
でもマリアはプロポーズを断った。
理由は、俺がマリアを好きだということが信じられないから、とか、本当にマリアが好きなら、他の花嫁候補とも話してその心を確かめてほしい、とかだった。それと、選抜を受けて審査を受けた結果、一位だったら婚約。ということも言っていた。
つまり、俺の愛が本物かどうか知りたい?それとも、選抜で公正に選んでほしい、ということか?
「どっちもだろ」
「うわぁっ!」
ロバートがいつの間にか体を起こしてエドワードを見ていた。
「王子のくせに情けない声出すな」
「いやいや、いきなり入ってこないでよ」
ていうか心の声聞こえてる???
「ダダ漏れ」
「やめろ!」
「で、王子様の本物の愛はどうやって示す?」
「う…それは」
「そもそもお前、本気であいつが好きなのか?」
「…うん、多分」
「多分、ねぇ」
ロバートは鼻で笑った。
「仕方ないだろ、恋とか愛とか、
考えたこともなかったんだ」
「何で?」
「俺はずっと城に缶詰なんだ。友達なんかマリアとかロバートが初めてで、今回ここの寮に入れてもらうってのも相当苦労したんだ」
王室は何かと忙しい。仕事のある王子を寮に入れてしまっては王室が機能しなくなってしまう。だから今回も2週間だけという条件で受け入れてもらえた。
「それに、恋愛結婚なんて考えたこともなかった。花嫁選抜で選ばれたお嬢様をもらって、その人となんとなく、夫婦っぽく暮らすんだと思ってたからさ。」
「だけどあいつが現れて、恋を知った、と?」
「そう!マリアと結婚できたら嬉しいな。今までは結婚なんかしたくないと思ってたけど、マリアとなら良いかもなって」