「緊張してる?」
フリンが耳元で囁く。
この声、落ち着く。
「大丈夫です」
「じゃあ入るか。」
フリンの手が肩に優しくのせられる。
この手、落ち着く。
ガラガラ…と扉を開けた。
ばっとクラスメイトがこちらを向く。
視線が痛い。痛い。
「ごきげんよう」
ちょっと震えちゃったかな。
教室中がしんとなった。
「大丈夫」
フリンが耳元で囁く。
この声、落ち着く。
ダイアナはフリンを連れて席に座った。
視線はやっぱり集まる。
こそこそと話しているのも分かる。
今、私はどんな風に見られてるんだろうか。どんな噂を囁かれているのだろうか。怖くて俯く。
「おはよう」
突然の声に顔を上げる。
声の主は、話したことがない女子。
「お、おはよ」
「ダイアナさん、私はあなたの味方だから。安心して。」
女の子はダイアナに手を差し出した。
ダイアナは戸惑いながらもその手を握る。
「はい、これでお友達ねっ」
女の子は無邪気に笑った。
そうだ。友達って、こんな感覚だ。
疑わないで、無邪気に笑いあえる。
毎日一緒にいる仲間だ。
ダイアナは友達が何か、思い出したきがした。
それからダイアナは友達をたくさん作った。
それから一ヶ月。
ダイアナはクラスの女子代表のような立ち位置にまで上り詰め、人気者になった。性格は元の明るい気遣いのできるダイアナに戻った。
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そして、現在
第二回花嫁選抜が終わった。
結果は惜しくも4位だったが、
ここまで来てやっと分かったことがある。
フリンとダイアナは抱きしめ合っていた。
マリアとロバートは空気を読んだのか、
どこかへ行ってしまった。
「本当にありがとう、フリン」
「何がですか?」
「その…色々よ」
「色々、といいますと?」
「私を泣き虫ちゃんから人気者に変えてくれて」
「それは俺がしたことじゃないよ、
君が頑張ったんだ」
口調がカウンセラーに戻っている。
そんな言葉遣いが懐かしくて愛おしい。
ダイアナはフリンの腕に顔を埋める。
「いじめを受けても、お母さんを傷つけたくないからって1人で背負いこんで。
でもそんな優しさがダイアナ様の良さだから。今のダイアナ様に繋がってる。
君の良いところは、優しくて気遣いができるところだ。どんな時でも人を優先して行動できるところだ。」
「ありがとう、嬉しい」
私はこの執事に恋をしてました。
王子も好きだったけど、やっぱりいつも私に向き合ってくれるフリンが好きなんだってわかりました。
もう何もいりません。
フリンが私の側に居てくれれば。
彼の笑顔と、声と、手のひらが愛おしくて、抱きしめても抱きしめても足りない。
これからも、2人で一緒に頑張ります。