俺のペットはプリンセス〜プリンセス・マリアと王子のキス〜


「私もいじめにあったんです」

ダイアナはなんとか明るく笑顔をつくった。

フリンは黙ってうなづいていた。

「私、昔からつきあってた友達…アリスと私の執事に裏切られました。最初は靴を盗む程度でした。それなんかまだかわいいくらいのものでした。執事に裏切られましたことが本当に悔しくて悲しかった。その後は私の噂があることないことばらまかれて、私の地位は陥落しました。居場所も無くなりました。私はいつもひとりぼっちでした。」


「お母さんはそのこと知ってる?」


「言えません!傷つくから。でも学校に行きたくないって言うとさぼりだと思われるから、それが辛かったの。今は保健室登校だから、さぼりではないってことで納得してくれたみたいだけど」

「なるほどね。いじめのことだけど、
俺もいじめにあってたから気持ちはよくわかる。辛い、苦しい、悲しい、死にたいって毎晩泣いたり。なんで俺だけいじめられるんだろうって」

フリンの両親は早くに亡くなり、養子にとられた。親は本当の子供のように接してくれるが、周りの目は違かった。
周りは養子の子、養子の子、とばかりフリンを指差して言う。かわいそうだとか不幸だったとか。確かにそうかもしれない。

「でも俺は自分がかわいそうだなんて一度も思ったことはないし、不幸だとも思わない。だってこんなに優しい親が今いるのに、何がかわいそうだって?
そんなのそっちの勝手な価値観だ。
俺は自分の親を愛してるし、
愛されてる。それがかわいそうだなんて、勝手な妄想だ」


フリンは笑顔を崩さない。
でもとても感情的にも見える。


「やっぱり、お母さんにも言ったほうがいい」

いじめの件だ。

「どうしてですか?私は…傷つけたくないんです、お母さんを」

「わかるよ。でも、お母さんは後から知ったらどう思うかな?きっと、打ち明けてくれなくて悲しい思いするとおもうよ。自分は頼られる程の力がなかったのかなって、悔しい思いすると思う」

ダイアナはその言葉に驚いた。

「伝えないほうが君のお母さんは傷つくってこともある。どうする?」

どちらにしろ傷つく。
それならどうすればいいか。

「きちんと伝える。」

ダイアナは涙を流しながら、強い瞳で言った。


フリンはふっと笑って、ダイアナの涙を拭いた。

「泣き虫ちゃんだなぁ、ダイアナ様は」

「泣き虫ちゃんって言わないで!」

ダイアナは目を赤くしてふくれる。
フリンはくすくすと笑いながらも、
がんばって、と喝を入れた。