翌日、ダイアナはアリスを尾行していた。
朝早く、アリスは1番に教室に来る。
誰もいない。
そのアリスの隣には、ダイアナの執事が立っていた。
「なんで!」
ダイアナの執事はアリスから何かを受け取った。
靴箱の鍵だった。
『ありがとう、あなたの協力のおかげで無事バレなかったわ。』
「いいえ、私もダイアナ様のワガママには懲り懲りなので」
2人は意地悪く笑い声をあげて別れた。
「そんな…私の執事がどうして?
アリスとグルだったってこと?」
ダイアナは犯人がアリスであると確信した。そして、自分の執事も共犯者だったということも。
その後、アリスが有る事無い事噂を流し、ダイアナの居場所は無くなった。
美人で明るくて成績も優秀なダイアナには昔からきつく当たる生徒も多かったが、今回の件でさらにダイアナに対して批判的な生徒が増えてしまった。
クラスにいても視線が痛い。
こそこそ噂されたり、物がなくなったり、いじめは水面下でひしひしとダイアナを蝕んでいった。
それからダイアナは登校を拒否するようになった。不登校と呼ばれる。
家が裕福なダイアナは、寮ではなく実家暮らしだ。そのためいじめの件も言い出しにくく、登校できない理由を毎日考えたり、親に納得してもらうのが大変だった。
「今日は風邪っぽくて…」
「あら、学校で流行ってるの?」
「うん、まぁ」
「熱を測りましょう」
体温計が渡される。
「あっちで測るわ」
ダイアナはベッドにもぐり、体温計の先を擦った。こうすると摩擦熱で温度が高く表示される。
「37.5度ね。少し寝てなさい。今日は休みましょう」
ダイアナはその言葉を聞くとほっと胸を撫で下ろし、ベッドに潜り込んだ。