《ダイアナの恋愛事情》











少女は不登校だった。

名前はダイアナ。
以前は不登校のイメージとは程遠い
活発な子で、友達もたくさんいた。




不登校になった原因はいじめ。

いじめの原因はよくわからない。
或る日の朝突然、靴がなくなっていた

お嬢様の靴は鍵付きの靴箱に入れており、執事が鍵の管理をしているため、盗まれることは珍しかった。


「ねぇ、靴箱の鍵を誰かに渡したりしてないわよね?」

「ええ、もちろん私がお預かりしてます」


執事は何事もないように答えたが、
ダイアナには怪しく感じた。
この執事とは気が合わないような気がしていて、あまり信じられなかった。

靴は結局見つからず、新しい靴を調達することで事件は収束したと思っていた。

ある日、担任から犯人の情報が入った。
名前までは教えられないと言われたが、
ダイアナはしつこく問い詰めた。

「誰なんですか!」

そうして出てきた人物は、アリスだった。
アリスはダイアナとよく話す知り合い程度の存在だった。昔からすれ違うことが多く、本来なら親友になれる期間一緒にいても、仲は悪化する一方でお互いあまり話さなくなった。


「アリス!」

ダイアナはアリスのクラスに飛び込んだ。
「あれ、ダイアナ?どうしたの」

アリスはとぼけた様子できいた。

「あなたなんでしょ、私の靴を盗んだの」

「はぁ?なにそれ、濡れ衣じゃん!
証拠もないのに勝手に犯人にしないでよね、被害妄想よ」

「担任の先生から聞いたわ!
あなたが…」

その時、執事が後ろからダイアナを引っ張った。

「ちょっと、何するのよ」

「ダイアナ様、ここでは人目が…」

クラスにいた生徒らが何事かとざわつく。

「そんなのどうでもいいわよ、早く謝ってもらわなきゃ」

「ダイアナ様!」

執事がどうしてここまでダイアナを止めるのかわからなかった。しかしその剣幕に押されるようなダイアナではない。


「あなたなんでしょ!私は知ってるのよ!」

「こわ〜い、あの人私が犯人だって決めつけて言いふらしてるわ。酷いと思わない?」

アリスはわざとらしく悲しそうな表情をつくり、クラスメイトに話しかける。

話しかけられる方はアリスに味方し、どうやら既に派閥ができているらしいと悟った。

「ダイアナさん、あまりアリスをいじめないであげて。」

アリスの取り巻きがダイアナをなだめる。
本気でアリスが犯人じゃないと信じてるのか。
苛立ちが収まらなかった。でも周りの視線はダイアナに集まっていて、痛いほど刺さった。撤退せざるを得ない。


「また来るわ」

ダイアナは唇を噛んで踵を返した。