「今日も人が溢れてますね〜」

マリアは馬車から見える城の前の人混みを見て言った。

「今回は前回の出場者が殆ど見に来てるだろうからな」

隣でロバートが窓のふちに肘をついている。


「今日は頑張りましょうね!」

「あぁ」

ロバートさんは浮かない顔で返事した。
でもきっと本番はきっちりやってくれるんだろう。


「ありがとうございました」

馬車を降りる。
馬車の運転手に礼をし城へ向かった。


「あ、マリア!」

「ダイアナ!」

2人はお互いを見つけると駆け寄った。

「さっきテレビの取材を受けたわ!
もしかしたら全国放送だったかも!」

ダイアナは興奮状態だ。

「マリアちゃんに宣戦布告しちゃったりね」

フリンが困ったように笑っていう。

「ちょっと、それは言わないでよ!」

怒るダイアナをあしらいつつ、
フリンがあっ、と質問してきた。

「マリアちゃんはロバートも使う予定なんだって?」

「はい、名演技を披露してもらおうかと」

「えんぎぃ!?」

ダイアナは度肝を抜かれたような顔だ。

「まぁ、不本意だが。お嬢様の命令なら仕方あるまい」

ロバートは気難しそうになる。

「お前は出ないの?」

「あぁ、俺は今回は出番なし。
ダイアナ様のソロライブってとこかな!」

フリンは面白おかしく言った。


「それは期待してるわ!
頑張ってね」

「マリアこそ!」

2人はにひひと顔を突き合わせると、
すぐに城の中へ駆けて行った。