「全く…エドワード王子も放っておけないですね。花嫁選抜放棄とか平気でやらかしそうだし」

ロバートがやれやれと呟いた。

「しばらくウチで預かるか」

「え!?ここで!?」

「いいの!?」

マリアとエドワードが同時に叫んだ。

あの冷酷なロバートからそんな言葉が出るとは、驚いていいのか喜んでいいのか?

今日の場合は喜んでおく。

ロバートはすぐ怒るし、礼儀作法に厳しいし、(自分の言葉遣いは荒いけど)
殴られたり叩かれたりするけど、ちゃんと誠意を持ってくれているということが伝わってくるし、絶対私を途中で投げ出さない。

そういう面倒見のいいところが、
彼の長所である。


「ただし、そちらの許可も貰わないと単なる居候になっちゃいますからね、きちんとご両親や王室の許可をえてください」

細やかな気遣いだ。

「分かった。俺はマリアと過ごせたらとても嬉しい。ぜひこのオックウード女学校に滞在させて貰えるように頼んでみるよ」



エドワードは嬉しそうに言うと、
早速学校を飛び出して城へ走って行った。

「大丈夫かな…」

マリアはそんな思いつき行動のエドワードにささやかな不安を覚える。