ロバートはとにかく、この場で歌うのを止めたかったようだ。
そのとき。
「マリア!」
聞き覚えのある声が、2人の後ろから聞こえた。
「エ…エドワード王子!?」
なんと、このオックウード校舎内をエドワード王子が1人で歩いている!
「いや、今日は視察の日だったんだ。
それで2年生の教室を見てたら廊下にマリアと執事君がいたからさ、追いかけてきちゃった」
エドワード王子は畳み掛けた。
走ってきたのか、息が乱れている。
「それよりすごいよ、マリアの歌!
それなら簡単に1位になれる」
エドワードはマリアの手を取って
握りしめる。
マリアの顔はぼーっと赤くなった。
「それよりこんなところに勝手にきちゃっていいんですか!?ボディーガードの方とか執事の方とか…」
エドワードは今、完全に無防備である。
「大丈夫!そこの執事くんがついてるだろ?」
ロバートは指名されてきょどっていたが、ご指名とあらば礼をして返すのみだった。
「確かにロバートさんがいれば安心ですね」